サウンド ドローイング プロジェクト

サウンド ドローイング プロジェクト (english below)

古川聖、藤井晴行、茂木一司
科学技術振興機構
プログラム名:領域開拓プログラム
研究テーマ名:響き合う空間、励起される美意識
実施機関:国立大学法人東京芸術大学
楽器製作:東京芸術大学 ファクトリーラボ(代表:三枝一将) <<<<

プロジェクトの概要

私たちはH23年に行なった共同研究において室内空間で音(楽器)の動きで絵(”かたち”)を描くワークショップ「空間ドローイング」を開発した。本プロジェクトはこれを発展させ、大きな野外空間、例えば日本庭園空間、都市空間、自然の空間などにおいて、多くの人の参加のもと、音(音源)の移動により描きだられる様々な音の線などの”かたち”をこれらの既存の空間に対比的に加えようするものである。つまり美的様相を持つ既存の空間にあらたに創られた音の”かたち”を対置し、両者間におこる共鳴、緊張、衝突の中にあらたな美意識が立ち上がる契機をさぐる。
本プロジェクトは一般参加者をふくむワークショップ形式をとり、参加者と対象となる空間、創り出されそこに加えられる”かたち”などの動的な関係の中、ディスカッション、共同の体験、共同制作などのプロセスとおして、現代の私たちをとりまく空間、環境などのもつ様々なアスペクト、美しさ、意味などを研究として、表現として明らかにしたい。

プロジェクト実施計画

プロジェクトはワークショップにおける作業の根底にある、空間構成の認知と音の構成の認知の組み合わせと、それらの美的体験に関する仮説に基づいたワークショップのデザインと実施、その検証と修
正が中心となるが、おもに以下のような3つのコンポーネントからなる
1)空間音描画のためのメカニズムの調整とそのための楽器の制作
これまでは最大10メートル四方程度の室内空間で空間音描画を行ってきたが、ワークショップで想定する空間(例えば池泉回遊式庭園)は全体を使うわけではないにしろ最大100メートル四方程度の空間であり、空間音描画が機能するためには、音色(雑音成分が多いほど音の定位はよいが音色としての魅力が減る)、音量、余韻、直接音/間接音のバランス、音と音の間の間隔、地理的要素、視覚的要素、etc. など複雑な要因がからみ、十分な調査、実験が必要となる。実験段階では多数の学生たちを使った条件、楽器の最適化のための野外実験を、大学キャンパス内外でおこなう。制作実験及びに最終形の制作はファクトリーラボ(東京芸術大学、取手キャンパス)に依頼する。

2)空間認知と音の認知とそれらを美的体験としてつなぐための作業
庭園空間と音楽の構造を認知のレベルにおいて体験としてつなぐ仮説モデルをつくり、検討し、
部分的にコンピューターシュミレーションをおこなう。

3)ワークショップ準備と実施

 

 

実験報告1 (2017年11月30日@東京芸術大学上野キャンパス)

実験報告2 (2018年1月19日@東京芸術大学取手キャンパス)

実験報告3 (2018年2月20日@東京芸術大学取手キャンパス)

 

・楽器制作(平面波音叉)

サウンドドローイングのワークショップの下見報告

9月3日(月曜日)に古川、川崎、牛島は10月27日のワークショップのための準備のために下見を行い、大まかな場所の選定と楽器を使ったテストを行った。
以下の4カ所でテストを行った。

場所:ダムの堤防
音叉型楽器は相当遠くからでも聞こえる。
楽器の移動や複数楽器の線状のならびなどが面白いかもしれない。
鐘楽器はここでは比較的平凡な響きであった。

場所:唐カエデの林
木々がフィルターのように機能し、低い音の音叉型楽器などでは、音波が木々の間を這うようにきこえるここでは、鐘楽器がおもしろく響く。

場所:池
遠く離れても音が明解にきこえる。音にビブラートがかかる。低いから音でも聞こえる。

場所:広場とその後ろに広がる大木、小丘、起伏
うごきまわると色々に場所特有のフィルターがかかり面白い。

9月3日下見会

 

 

サウンド ドローイング プロジェクト

 

サウンドドローイングのワークショップが行われました。

ワークショップはトトロの森なども点在する、東京北多摩のみどり豊かな狭山丘陵、多摩湖に隣接する都立狭山公園
http://www.sayamaparks.com/sayama/
で行われました。初回である今回は、今後のワークショップの展開を見据えながら、いろいろが方法が試行されました。

サウンドドローイングのワークショップが行われました。

1) 概要
2) 当日の進行
3) 使用楽器について
4) パフォーマンス1  宅部池
5) パフォーマンス2  多摩湖堤防
6) パフォーマンス3  トウカエデの林
7) パフォーマンス4  太陽広場
8) 終了後のディスカッション1
9) 記録、その他
10) 参加者などのデータ

1)概要:

ワークショップはトトロの森なども点在する、東京北多摩のみどり豊かな狭山丘陵、多摩湖に隣接する都立狭山公園で行われました。初回である今回は、今後のワークショップの展開を見据えながら、いろいろな方法が試行されました。参加者は主に東京芸大の学生、群馬大学の学生です。
公園内の以下の4箇所が選ばれ、そこでパフォーマンスとして音の形のデザインが行われました。
① 宅部池 ②多摩湖堤防 ③トウカエデの林 ④太陽広場

2)当日の進行

08時30分 集合(西武園駅)
09時 00分 狭山公園に関するレクチャーを受ける(公園のなかを歩き回る)
(講師:杉山さん、狭山公園のパークレンジャー)
10時30分 ミーティング、プランの説明、検討
11時00分 小休止、食事
11時30分 プラン1、堤防で実施、撮影録音
12時15分 プラン2 池の周りで実施、撮影録音
13時00分 プラン3 森で実施、実施、撮影録音
13時45分 プラン4 広場で実施、撮影録音
15時00分 撮影終了、片付け  学生は解散
15時20分 全体ミーティング
16時00分 研究チーム:研究ミーティング
18時00分 全体解散

 

3)使用楽器について

このプロジェクトのそもそもの起点となっている特殊楽器は東京芸大にバシェ音響彫刻修復プロジェクト(https://readyfor.jp/projects/geidai2017baschetのために来日していたバルセロナ大学のマルティ・ルイツの考案になる、音叉型平面波楽器をもとに材料、形状、大きななどを藝大ファクトリーラボの三枝一将が古川研究室と実験を重ね、金工工房機械室の長尾幸治が制作したものです。

1)その特徴は振動のエネルギーを楽器の側面に集め、二つの枝腕を共鳴させ、さらに強めることで、ビームのような指向性の高い音が生まれ、今回のパフォーマンスでも150メートル先の地点でも明確に音が聴こえました。

2)その指向性により、楽器の角度をかえたり回転させたりすることにより、大きな音色の変化が生まれます。

3)現在のセットは  低いDo(ca. 130Hz.), 低いSol (ca. 195Hz.), Do(ca261Hz.),Re(ca. 293Hz.),Mi(ca. 329Hz.),Sol (ca. 391Hz.), La(ca. 440Hz.)を2セット、それにSol (ca. 391Hz.)を6個追加し8人のパフォーマーを想定しています。

音叉型平面楽器のセット

このプロジェクトのために開発中の楽器で、ファクトリーラボの三枝一将によりデザイン鋳造されている。金属の配合、種類の実験を行なっている、現在のものは中には鉄の玉が3つ入っており、それによって異なる音色がだされる。今回、パフォーマンスの一部で、取り入れられ野外での使用で、開発の方向性がみえてきた。

鈴型楽器

パフォーマンスでは木製のハンマー音叉型平面楽器を演奏し、鈴型楽器は手で振るように演奏した。8人のパフォーマーには各自にイアフォンつきのトランシーバーが渡され、トランシーバーで指示がだされた。野外での視認性のためにパフォーマーはピンクのジャケットを装着した。

 

 

4)パフォーマンス1  宅部池

宅部池は森に接した位置にある小さな池で、多摩湖ができる前からあった丘陵の湧水や多摩湖からの流水で出来た池、通称「たっちゃん池」と呼ばれる。
この池の岸に見え隠れする8人のパフォーマーをおき、この風景に音の形を付け加えるパフォーマンスを行いました。

岸辺から対岸にむけてパフォーマンスをおこなう。楽器の音は森の木々をフィルターとし水面に反射し独特の音色に変化し、風景と一体となってやわらかい空間を生み出しました。

5)パフォーマンス2  多摩湖堤防

多摩湖堤防の上に18メートルおきにパフォーマーが配置され、この大空間に音の線が引かれました。
150メートル以上もはなれてなお明晰に聞こえる楽器音がつくりだす、空間の広がりは圧巻です。

音は狭山丘陵の風景と一体となり、公園を訪れた人もしばし聴き入っていました。

楽器音は堤防の下、150メートル先に向けられます。楽器の音エネルギーは側面方向に集められ、150メートル先でも明瞭に聴き取れます。

6)パフォーマンス3  トウカエデの林

トウカエデの林のなかに8人のパフォーマーを配しました。ここでは音は木々の葉のフィルター、木々の幹による遮蔽、反射により、独特の陰影をもつものとなりました。

空間を動き回ることで音の陰影は多様に変化し、木漏れ日が作る森の陰影とあいまって固有の風景が現出しました。

列をつくり音形をくりかえしながら移動すると、音のかたちが風景のなかを動くことになります。

7)パフォーマンス4  太陽広場

森を背景にした大きな広場に8人のパフォーマーを配置し、80Mほど離れた位置からパフォーマンスをみます。

広場には音を遮るものがないので音は直進します。背後の森は音を吸収し遠くからでも明晰に音の形が聴こえます。

大きな空間の中を演奏しながら歩き回ると、距離の差、楽器の方向の変化により、大きな空間の動きが感じられます。

8)記録、その他

録音はサウンドアーティストの川崎義博さんのチームが担当し、360°カメラ含む5台のカメラで撮影をおこないました。(映像の編集が終了次第公開します)

パフォーマー(楽器演奏者)はその風景の中の視覚的な位置を明確にするためにピンクの上着を着用しました。

9)終了後のディスカッション

全パフォーマンス終了後にディスカッションをおこないました。参加者全員からの発言がありました。(内容の詳細は後に発表)

10)参加者などのデータ

日時:2018年10月27日 9時~16時
参加者
研究スタッフ:古川聖(東京藝術大学)、藤井晴行(東京工業大学)、茂木一司(群馬大学)、三枝一将(東京藝術大学)、薗部秀徳(東京藝術大学)、川崎義博(東京藝術大学)、牛島大悟(東京藝術大学)、草野温子(東京藝術大学)
撮影録音スタッフ:川崎義博、立薗駿、汪洋、森田具海、杉山迦南
パフォーマンスその他:
東京藝術大学学生
塚本海至、奥野智萌、横井駿斗、丸山華乃、
布谷麻衣、元岡奈央 、荒川弘憲、川本杜彦
群馬大学学生、その他

Project: Sound Drawing Project
Kiyoshi Furukawa, Haruyuki Fujii, Kazushi Mogi

In 2011, we have conducted a joint research regarding the development of “spatial drawing”, which participants can draw (“figurations”) with the sound (instrument) in an indoor space. This project progresses the research even further to a larger outdoor space, for example, a space of Japanese gardens, a space in a metropolis, or a natural space, and promotes a contradistinctive “figurations” resulting by the participation of many people and their sounds (sounds source). In other words, we aim to set opposing “figures” created by sounds in an existing space with a distinct aesthetical appearance, and explore the formation of a new aesthetical orientation born from the affirmative resonance, tension, and collision between the “figures” and the existing space.
This project will be carried out in the form a workshop, including public participants. In the fluctuating relationships between the participants, the existing space, and the newly created “figures”, and through discussion, mutual experience, and joint production, we aim to uncover diverse aspects, beauty, and meaning in both academic and expressive terms.

[Project Implementation Plan]
The project orbits around the subjects underlying in the processes of executing workshops; the consolidation of cognition of spatial composition and the cognition of the sound structures, designing and executing workshops based on the hypothesis of the aesthetical experiences described above, and it’s inspection and modification. The plan can be summed down to three components described below:
1) Adjustment of mechanism for spatial sound etching, and the production of the instrument relating to the project
We have so far conducted our spatial sound etching in an indoor space in an area no larger than ten-meters squared. However, we assume our space to conduct the workshop (e.g. the Chisen-Kaiyushiki-Teien) to be a space of a hundred meters squared, although the usage of the full capacity of the space is unanticipated. For the spatial sound etching to function, we must recognize the timbre (the more noise contained in the timbre creates better sonic orientation, however, decreases the charm as a textural timbre), dynamics, resonance, the balance between direct and indirect sounds, the space between sounds, geographical condition, visual element, among others, complexly intertwine. Therefore, we must execute a thorough research and experimentation on these matters. During our test stage, we will use the university campus facilities as well as public facilities, use numbers of students for a study of the experimental conditions, and hold outdoor experiments for the optimization of the instruments. We will request Factory Lab (Tokyo University of the Arts, Toride Campus) for the production of subjects at the experimentation stages, as well as the final form of our production.
2) Operation on bridging the spatial cognition and the sound cognition to formulate as an aesthetical experience
We will create a hypothetical model on connecting the space of the garden and the structure of music in the cognitive level. After a thorough examination, we will conduct a partial computer simulation.
3) Preparation of the workshop and it’s implementation (This will be shown in a separate plan)